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![]() 私が看護学校の学生だった頃、 検診で蛋白尿でひっかかりました。 膠原病に詳しい先生がおられて、膠原病のひとつの 全身性エリテマトーデスではないかと 疑われましたが、 血液検査や尿検査を繰り返した結果、 起立性蛋白尿と言って、 良性のものであることがわかりました。 膠原病の代表的なもので、出産可能な年齢の女性に多い 全身性エリテマトーデスについて書きます。 ![]() ■全身性エリテマトーデスとは 国の特定疾患に指定されており 公費負担助成の対象になっています。 <特定疾患とは> いわゆる難病のうち、原因不明で、治療方法が確立していないなど 治療が極めて困難で、病状も慢性に経過し後遺症を残して社会復帰が 極度に困難もしくは不可能であり、医療費も高額で経済的な問題や 介護等家庭的にも精神的にも負担の大きい疾病で、その上症例が 少ないことから全国的規模での研究が必要な疾患を「特定疾患」と 定義しています。 全身性エリテマトーデスは、 英語でsystemic lupus eryhtematosusといい、 その頭文字をとってSLEと略して呼ばれます。 systemicとは、全身のという意味で、 この病気が全身のさまざまな場所に、 多彩な症状を引き起こすということを指しています。 lupus erythematosusとは、皮膚に出来る発疹が、 狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、 こう名付けられました(lupus、ループス:ラテン語で狼の意味)。 全身性エリテマトーデスの患者さんは日本全国に 2万人〜4万人程いると考えられています。 患者数の男女比は 1:9ほどで、圧倒的に女性に多い病気です。 全身性エリテマトーデスはすべての年齢に発症しますが、 子供を産むことの出来る年齢 (特に20〜40歳)に多く起こります。 ■全身性エリテマトーデスの原因 多くの研究が世界的に行われていますが、残念ながら 今のところはその原因はわかっていませんが 自分自身の体を、自分自身の免疫系が、 攻撃してしまう病気です。 ■全身性エリテマトーデスの誘因 紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、 風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産、 ある種の薬剤などが、知られています。 ■全身性エリテマトーデスの病態 この病気の患者さんの95%以上が、血液中に、 抗核抗体という抗体をもっています。 自分自身の細胞のなかにある核と反応してしまう抗体です。 この抗体が、自分の細胞の核と反応し、免疫複合体という物質を 作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が 引き起こされると考えられています。 このほか、免疫を司るリンパ球も直接、自分の細胞、組織を 攻撃すると考えられています。 ![]() ■全身性エリテマトーデスの症状 <全身症状 > 発熱、全身倦怠感、易疲労感など <関節症状 > 手や指が腫れて、痛む関節炎を起こします。肘、膝などの 大きな関節に、日によって場所が変わる移動性の関節炎が 見られることもあります。 <皮膚症状 > もっとも有名なのは、頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている 形をしているので、蝶型紅斑と呼ばれています。 皮膚をさわると、一つ一つが丸い発疹が、重なりあい、 少し盛り上がっているのが特徴です。 同じ、頬に出来るものにも、盛り上がりのない、ハケで薄紅色の 絵の具をぬったような紅斑も見られます。 また、一つ一つが丸く、ディスク状(レコード盤)のディスコイド疹も、 この病気に特徴的で、顔面、耳、首のまわりなどに好発します。 <日光感敏症> 強い紫外線にあたった後に、皮膚に赤い発疹、水膨れ、 あるいは熱が出る日光過敏症という状態が、この病気で よく見られます。 この症状が、病気の始まりであることも少なくありません。 <口内炎> 多くは、口の奥、頬にあたる部位や上顎側に出来る粘膜面が へこんだもので、痛みが無く自分で気付かない ことが多い。 <脱毛 > 脱毛が起こります。 また、円形脱毛のように、部分的に髪の毛が抜けたり、 全体の髪の量が減ったりすることもあります。 また、髪が痛みやすくなります。 <臓器障害 > 個人差が大きく、全く臓器障害のない、軽症のひともいます。 ![]() ■全身性エリテマトーデスの治療法 <副腎皮質ステロイド剤> 自分自身に対する免疫を抑えるため、免疫抑制効果のある くすりを使います。 なかでも、副腎皮質ステロイド剤は、特効薬として知られています。 病気の重症度によって、薬の量が違います。 <免疫抑制剤 > 副腎皮質ステロイド剤が、効果不十分か、副作用が強い場合に、 免疫抑制剤を使うことがあります。 <ステロイドパルス療法 > 副腎皮質ステロイドを、点滴で大量に使用する方法です。 口から飲むより、より早く、かつ効果も高いとされており、 重症度のかなり高いかたに使われます。一般的には、 三日間の使用ですので、この間副作用も比較的少ないと されています。 その後は口からの服用に切り替えます。 <体外循環療法> 血液中の病気を引き起こしている免疫複合体やリンパ球を、 体の外に取り出してこれをフィルターを使って取り除く治療法です。 ステロイドや免疫抑制剤がどうしても使用できない、 あるいは効果が不十分な場合に使われます。 <抗凝固療法 > 血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併しているひとでは、 小児用バッファリン、ワーファリンなどによって、血栓の予防が 行われます。 <支持療法、対症療法> 腎不全のときの透析療法など、その病状に合わせて治療が 行われます。 また、血行障害の強いひとでは、血管拡張剤などが使われます。 ■全身性エリテマトーデスの経過 臓器障害の広がり、重さによって、病気の重症度が異なります。 関節炎や皮膚症状だけのひとは、薬剤によるコントロールも つけやすく、健康な方とほとんど変わらない、普通の生活が 出来ることも珍しくありません。 一方、腎臓、中枢神経、血管炎など、臓器障害が重い場合は 多種類の薬剤を、大量に、そかも長期にわたって使わなければ ならないことがあります。 全身性エリテマトーデスのコントロールは年々改善され、 数十年もこの病気と 付き合っている患者さんも増えてきました。 ■全身性エリテマトーデスの予後 副腎皮質ステロイド剤が使われるようになって、 昔は5年以上は50%程だった生存率が、 現在では90%以上にまで改善しています。 ステロイドの効き具合によって、変わってきます。 免疫抑制剤が使われるようになって、病気のコントロールは さらに良くなってきています。
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